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福岡高等裁判所 昭和49年(行コ)8号 判決

福岡県田川市東区古賀町三、六八七番地

控訴人

丹村義治

右訴訟代理人弁護士

吉村拓

福岡県田川市東区新町一一番五五号

被控訴人

田川税務署長

副島喜一

右訴訟代理人弁護士

国武格

右指定代理人

森武信義

大神哲成

本田義明

小柳淳一郎

江崎博幸

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人に対し昭和四四年一一月一八日控訴人の昭和四〇年度分所得税についてなした確定納税額を金一四二万五、二〇〇円とするとの決定及び重加算税金四九万八、七〇〇円の賦課決定をいずれも取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。

二  当事者双方の主張及び証拠関係は、控訴代理人において、「控訴人は本件土地を昭和四〇年二月二八日に金五四〇万円で二村工業に譲渡した事実はない。帳簿上二村工業に譲渡した形をとつたのは、資本金及び資産を増加させて指命業者のランクを上げるための便法にすぎない。仮に控訴人が被控訴人主張のごとく本件土地をその主張の日に金五四〇万円で二村工業に譲渡したとしても、控訴人は本件土地を約金三〇二万四、〇〇〇円(坪当り金二、〇〇〇円)で買い受け、金二六〇万円の造成工事費を支出しているから、右譲渡価格から取得価格及び造成工事費を控除すれば、譲渡所得はないことになる。」と述べ、立証として、当審証人宮原恵範、同中嶋徳士、同松岡武治の各証言及び当審における控訴本人尋問の結果を援用したほか、原判決事実と同一であるから、これを引用する(ただし、原判決四枚目裏六行目の「支われた」を「支払われた」に改め、同七枚目表七行目の次に「4 調査嘱託の結果」を加える。)。

理由

一  当裁判所も原審と同様、控訴人の本訴請求は失当としてこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

原判決七枚目表末行の「、その後の」から同裏一行目の「譲渡した」までを削除し、同四行目の末尾の次に「また、成立に争いのない乙第一一号証の三、四及び原審証人瓜生保の証言によれば、控訴人が昭和四〇年二月二八日金五四〇万円で本件土地を二村工業に売却した事実が認められ、当審証人宮原恵範の証言及び当審における控訴本人尋問の結果中、帳簿上右のごとく二村工業に譲渡した形をとつたのは指命業者のランクを上げるための便法にすぎない旨の供述部分は右各証拠に照らしにわかに信用することができない。」を加え、同一〇枚目裏四行目の「認められない。してみると、」を「認められず、造成工事をした旨の当審における控訴本人の供述は信用することができない。そして控訴人の給与所得額、仲介手数料等、配偶者控除額、基礎控除額及び給与所得額に対する源泉徴収税額が被控訴人主張のとおりであることは当事者間に争いがないから、」に、また同一一枚目裏七行目の「対していた」を「被控訴人主張のとおりの重加算税算定の基礎税額となるとしてなした」にそれぞれ改める。

二  よつて、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担について民訴法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鍬守正一 裁判官 綱脇和久 裁判官 原田和徳)

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